家の玄関裏にアマゾンの密林を発見。
▲高さ1センチ。ミニチュアのヤシの木にも見えます。
僕はコケのことは初心者ですが、このコケだけは分かります。
学生時代にしていた植木屋バイトで、人様のお庭でたくさん見ましたからね。
久しぶりだな。ゼニゴケよ!
湿った日陰に生えてきて、瞬く間に庭を覆い、かつ根絶が難しいことから、どこの家に行ってもなかなかの嫌われようでしたね。あなたは。
最近このブログでは、ちまたの嫌われものの紹介ばかり続いていますが、そういうものほどよく見ると案外面白かったり綺麗だったりするので、愛憎裏返しでいつか好かれる時代が来ればいいなと思っています。
ということでゼニゴケも「どうやって駆除しようか・・・」なんて考えずに、今日はその仔細を観察してみます。
いつか好かれる存在になる日が来るまで、応援しているぞ。ゼニゴケよ!
まずはゼニゴケの名前の由来から。
▲これ。だそうです。
いきなり地味で面食らいましたが、この丸い部分が銭の形に見えるからゼニゴケという説があるそうです。(生物の名前の由来は諸説あるので、いつも自分が気に入っている名前の由来をご紹介しています)
この直径2~3ミリの丸い部分は「無性芽」といって、そっくりそのまま「性が無い芽」のこと。
「受粉」や「受精」というような雄雌の交わりを必要とせず、親の体の一部から突然新しい個体がポロっと出来るという、人間にあてはめて想像すると凄い仕組み。足に出来たイボを放っておいたら、そこから小さな自分が誕生した!みたいなことですからね。
西遊記の孫悟空が、髪の毛を抜いてフッと息をかけると分身が生まれるみたいな発想って自然界から着想を得たのかしら。まさかね。
…脱線しましたが、庭でむやみやたらに増えるのは、ゼニゴケを取ったときにこの無性芽が土にぽろぽろ落ちるからと考えられています。
それでは、一番はじめに出したヤシの木みたいな部分は何かというと
▲これは「雌株」から出てきた「造卵器」。
さきほどいきなり無性芽の話をしてしまいましたが、ゼニゴケも有性生殖をするそうで、株毎に「雌の株」と「雄の株」に性が分かれています。
▲こちらが「雄株」から出てきた「造精器」。
雄株の造精器で作られた精子が、雨などの水分に乗っかって造卵器の入口を目指して泳いでいき、無事受精が済むと
▲こうして黄色い「胞子のう」をつけます。なぜだか目を離すことが出来ない独特な見た目に息を呑みます。
この中にある小さな小さな胞子が地面に落ちると、また新しいゼニゴケが誕生するというわけ。
なんだか言葉で説明すると難しいのと、コケは専門外なので間違えると恥ずかしいので、NHKの分かりやすい映像をリンクさせていただきます。
↑とっても分かりやすいです。こういうコンテンツを作るのって凄いなぁ。
ふむふむ、ということはゼニゴケは無性生殖と有性生殖の2刀流で生存戦略を立てているということか。
・・・凄いじゃないですか、ゼニゴケさん。
じつは4年前からコケの世界に入りたい入りたいと思いながら、いつも表層しか眺められずに臍を噛む思いでいます。
ゼニゴケも調べてみると「ケゼニゴケ」、「トサノゼニゴケ」、「フタバネゼニゴケ」など色々な種類があるようで、図鑑で写真を見ていると、いつか見てみたい・・・という気持ちがふつふつと沸き起こってきます。
ちなみにコケの世界にも、はるばる海外からやってきた「帰化コケ」があるそうで、いつかそれを紹介してもらったことがあります。
▲遠く地中海からお越しのミカヅキゼニゴケ。この無性芽の形が三日月形をしているのが違いなのだとか!
興奮でブレブレの写真しか撮れなかったという無念さ溢れる一枚。いつかまたお目にかかりたく思っております。
コケ、もっと勉強したいなぁと思いつつ、それより鳥も知りたいし、いや植物だってまだ知らないことだらけだからなと、興味は尽きることのない自然の世界。
専門家でなくても、いまは本や図鑑、ネットなどで簡単に情報が入手できる時代。コケだってあまりよく分かっていなくても好き勝手に観察すればいいと僕は思っています。誰から点数をつけられるわけでもないですし。
もっと軽い気持ちで。まずは玄関裏から自分なりの視線でね。