まちの植物はともだち

《番外編3》いまここで会えない自然 Rafflesia kerriとRafflesia cantleyi ラフレシア

たまに番外編書きます。→シリーズ「いまここで会えない自然」。

 

これまで基本的に日本国内の「まちなか」と「野山」での観察を主に行ってきましたが、たまに外国にも行ったりします。

 

つい先ほど、僕が生まれて初めて「植物を見るためだけに」海外に行ったときの写真が出てきて懐かしくなったので、ちょっとご紹介。

 

いきなり見せます。

▲ザ・ラフレシア!!(inマレーシア)

 

植物好きとしてはやっぱり夢でした。世界一大きいとされるラフレシアの花を見ることは。(花の集合体としてはショクダイオオコンニャクが世界一とされています。)

▲これはラフレシア・ケリー(Rafflesia kerri)という種類で、花の直径は85センチほどの大きさ。

 

現在ラフレシアは18~20種類ほどに分類されていて、その中でも一番大きいのはラフレシア・アーノルディ(Rafflesia arnoldii)というもの。その直径はなんと1mを越えると言います。

 

想像するだけで鳥肌が立つので、これもいつか見てみたいなと思っています。

 

このラフレシアの写真、いきなり簡単に載せましたが、実際に見るのはなかなか容易なことではありません。

 

なぜなら、ラフレシアは原生林に近い環境に生息していることが多く、その自生環境までたどり着くのに、熱帯雨林の中をかなりの距離歩かないといけないからです。

 

この写真のラフレシアには、辿り着くまでに5時間ほどの山歩きを要しました。いま思い返すとよく行ったもんだ、本当に。

▲歩いている途中で出会った開花中の花。一枚一枚花びらを広げていく様子がよく分かります。

▲つぼみはキャベツみたいな形をしていて(見えづらいですが、大きさの比較に右下にボールペンを配置)

▲花が枯れると、黒く溶けたみたいな様子になります。

▲これは花の中心部の円盤。

 

頭皮マッサージ用のシリコン製ブラシみたいな形をしていますが、この突起の意味は不明。この裏に隠れた形で、雄花であれば花粉がつまった葯があり、雌花なら子房があるという作りをしています。

 

一般的に、ラフレシアは腐敗臭を漂わせることでハエをおびき寄せ、雄花の円盤の裏側にある葯を、雌花の子房へと運ばせると言われます。

▲ですが、確かにハエは飛んでいたものの、僕が出会ったラフレシアからは腐敗臭はしませんでした。匂いは種類によるのかしら。

 

という風に、見ればみるほど面白いラフレシアの花。

 

この時は、せっかくなのでもう一種類見にいきました。

▲ラフレシア・カントレイ(Rafflesia cantleyi)。これはラフレシアの中では中型のもので、直径およそ45センチ。

▲こんな風に出て来ているものもありました。

 

すでにこれまでの写真で気付いた方もいるかと思いますが、ラフレシアは寄生植物なので根も葉も持っていません。

 

寄生する先は、ブドウカズラというツル植物。この植物の栄養をいただいてラフレシアは成長します。

▲こんな風に。

▲そこまでは分かっているものの、どうやってブドウカズラの中に侵入するのかはまだ分かっていないという、なぞ多き植物ラフレシア。

 

マレーシアには雨季と乾季はあれど、日本のように明確な四季があるわけではないので、花が咲く時期も定まっていません。

 

なので、ラフレシアが咲く時期もまちまち。いつ行ってもどこかで花は咲いているけれど、どこに咲くかは分からないという、宝探しそのものの植物です。

▲しかも花が綺麗に咲いている時期はおよそ5日間ほど。(つぼみが出来てから花が開くまでは1年ほどかかるといいます。)

▲横からの様子。

 

さらに、現地の人はラフレシアのつぼみを昔から薬として使っているそうで(薬効は不明…)、咲きそうなつぼみ情報が事前にあっても、当日に行ったらもう無かったということが起こり得るという、見に行くには少々賭けの要素が強い植物です。

▲開花を予想していたポイントに辿り着いた時に撮った写真。

咲き終わりの花も、これから咲くつぼみも近くに並んでいるのに、肝心の咲いている花が見つからなかった時は、文字通り膝から崩れおちました。

写真を見返すだけ蘇ってくるあの日の興奮。こんな奇妙な植物が世界にはあるのかと思うと、自然と胸が熱くなります。

いまはなかなか行けなくなってしまったけれど、やっぱりたまには植物をテーマにした海外旅行もしたいなぁ。

皆さんも機会があれば是非!(こんな機会そうそう無いか…)