まちの植物はともだち

王冠をかぶったサンゴジュの冬芽

冬は楽しいことがたくさん。

▲たとえば、近くの垣根に近寄ってみると表われるのは、

▲王冠をかぶった人のように見える「サンゴジュ」の冬芽と葉痕。

どうでしょう。

▲とっっっっても可愛くないですか?

可愛い。可愛いとしか言いようがないくらいキュートです。

冬芽とは、来たる春に備えて冬の間に用意しておく葉っぱや花の「芽」のことで、葉痕は読んでそのまま、冬に葉っぱが落ちた「痕」のこと。

人は勝手に可愛い!なんて言いますが、植物にとってはいずれも寒い冬を越すための準備の姿です。

冬芽と葉痕は、それぞれが個性的な姿をしているので、慣れればこの冬芽だけでも樹木を同定することが可能になるという、冬の植物観察の隠れた主役。

▲同じ写真ですが、可愛いのでもう一度掲載。

サンゴジュはその地味さゆえ知名度がないですが、じつは材が燃えにくいという性質を持っているので防火対策として家の垣根に使われていることが多い樹木です。

有名ではないのに、本当は近くで簡単に出会うことが出来る樹木なので、この機会にサンゴジュの見分け方をご紹介。

▲これがサンゴジュの葉っぱ。まったく個性が無いように見えますが、じつはとっても分かりやすい識別点があります。

▲ぐぐっと近寄ると見えてくる、主脈と側脈の付け根の膨らみ。

▲これがたくさんついているものがあれば、サンゴジュの可能性あり。

といっても、サンゴジュ以外にもこの膨らみを持つものは多くあるので、一つの目安として探してみてください。こういう膨らみが多数あって肉厚のはっぱがあったらかなりあやしいです。

さて、識別点だけをお伝えするのがこのブログの趣旨ではないので、じゃあこの膨らみは何なのよ。という話を最後に見ていきます。

▲さきほどの膨らみを、葉の裏から見てみるとなにやら表面とは違う雰囲気が。

こういうのを見ると、近寄らずにはいられない僕の性分。

▲どうも凹んで窪みになっている様子。

ふむふむなるほど。これは植物ではたまに見る「ダニ部屋」と呼ばれるものだな。そっくりそのままダニが住む部屋のことです。

どうしてダニが住んでいるのか正確な理由はまだ分かっていないみたいですが、一応通説として考えられているのは、ダニを葉の一部に住まわせ縄張りにさせることで、他の虫が来たらダニに追い払ってもらおうというサンゴジュの作戦だと言われています。

本当かどうか僕は知りませんが、そうだとしたら凄い知恵ですね。面白い。

▲さらにアップ。窪みの入り口には複雑な形をした毛が生えていて蓋になっている。なんという良く出来た構造だ…。

これ見る度に、本当にダニいるのかなと探してみたりするのですが、残念ながらいまだご対面したことはない私。今回ブログで書くことだし、ネット検索してみるかと思ったら、こんなサイトをみつけました。

→サンゴジュのダニ室

この記事には、もっと鮮明なダニ部屋の構造と、ダニ自体の写真が出ていますので、是非ご覧ください。(この方、一体何者なのかしら…)

いやはや面白いことだらけのサンゴジュさん、わたくし大変恐れ入りました。