まちの植物はともだち

ドウダンツツジの咲くところ

夜の風を暖かく感じると、今年も季節がめぐったことを実感する。

ハクモクレンやウメが路上で真っ先に咲き、その少しあとにソメイヨシノが見事な花を咲かせると、ごく個人的に「そろそろかな?」と楽しみにしていることがある。

それが、ドウダンツツジの花が咲くところ。

まちを歩いていて、何だかそこだけ白くなっているなぁという垣根があったら、それがドウダンツツジの花が咲くところ。



これを見つけたらしめたもの。予定は脇に置き、ぐいっと近寄ってみる。

これが、ドウダンツツジの冬芽。

春になると、この冬芽が少しづつ大きくなっていき

ポコンっと花のつぼみが顔を出してくる。

花のつぼみはたくさん入っていて

次から次へと顔を出す。

花のつぼみと一緒に葉っぱの赤ちゃんも一緒に出てくると

こうして可愛らしい花がその姿を見せてくれる。

ドウダンツツジは漢字だと「満天星躑躅」や「燈台躑躅」と書かれるが、春にきらめく星のようだから、僕は「満点星躑躅」の方が好きだな。

一瞬で来て一瞬で去っていく春は掴みどころがない。

いまかな?と思ってぼんやりしていると、次の日にはすっかり夏の気配が近づいてきていて、掴めないままに春は去っていく。

ドウダンツツジの咲く様子を見ていると、「そうか、春っていうのはこうしてこぼれていくものなんだな。」と思う。

今年も春がこぼれてきた。ぽろぽろと落ちてきた。

どうせ今年も掴むことが出来ないから、次のチャンスはまた来年。

春になると色々なことを思い出すのは、きっと自分の中にも掴みきれていない気持ちがたくさんあって、春になるとひょっこり顔を出すからだと思う。

やっぱり春は気持ちがいい。