春の香りといえば、ほのかに香るウメの花、甘く漂うジンチョウゲなどの心地よいものを思い浮かべますが、多分皆さん意識していないだけで、この花の香りもよく嗅いでいるはずです。
▲いまが花盛り!のヒサカキ。
ちょっと待ってよ、どこに花があるのよ。というナイスツッコミの方どうもありがとうございます。
▲近づいてみると見えてくるんですね。ほらこうして。
春の花は、真っ先に虫に寄ってきてもらうために目立つ花をしていることが多いのですが、ヒサカキは結構小さな花を咲かせます。
ですが、これを下から覗いてみるとびっくり。
▲こんなにもたくさんの花!
▲雌雄異株(雄と雌の樹が分かれている)のヒサカキ。これは雄しべだらけなので雄株でした。
ブログだと匂いを伝えられないのが悩みですが、この小さき花たちはなかなかに強い香りを発揮しておりまして、自転車で走っていてもプンっと気が付く時があります。
▲じつはこの匂い、人によってはガスの匂いに感じるそうです。
本当かどうか知りませんが、ある時ガス漏れの通報を受けたガス会社が、該当場所をひたすら探すも異常が見当たらず、困ってあたりを捜索したところこのヒサカキがあったとかないとか。。。
本当にあったことなのかどうかはさておき、確かにそうなってもおかしくないなぁと思うほどガスの匂いがします。
▲良い香り~というわけではないので、あまり知られていない春の花。
さて、そんなヒサカキは、じつは私にとっては少々思い入れのある樹木です。
かつて大学生だった時、樹木を習いたてのころ。
先生から、「この樹木は葉っぱの先が凹んでいることも、見分ける際の特徴の一つである」と教えてもらったので、なるほどと葉っぱを見てみる。
▲・・・先生!!どこですか?どこが凹んでいるんですか?先生!!!
▲先生落ち着き払って言うのは「先端をよくみてごらん。」
▲・・・!!!!
先生、まさかとは思いますがこのもの凄い小さな凹みのことを言ってるのでしょうか…?
▲そうであるぞ鈴木くん。これがヒサカキの凹みであるぞ。
…なんていう軽快なやり取りは実際にはなかったんですけど、樹木を見分けるには、こんなに小さなところも大事な識別点になるのかぁと感嘆した植物入門者の頃の私です。
▲知らなかったけど、葉っぱの先端は凹んでたんだねあなたは。
そう思うと急にヒサカキのことを知ったような気持ちになってしまい、それ以降とても好きな植物となりました。
たぶんこういうことを楽しめるか楽しめないかで、植物を知っている人生と知らない人生が分かれていくんじゃないかと僕は思っています。
植物を楽しめる方の道へもっと多くの人が来れるよう、ヒサカキの存在をもっとみんなが知ってくれるよう、引き続き植物啓発活動に力を入れていく気持ちを新たにした私です。
ということで、観察会スケジュールのページも作ったので、たまに下記のところものぞいてやってくださいませ。