よく、「植物は自ら移動することがない。だから、芽生えた場所で生きていけるように様々な工夫をしているのだ」と説明されることがあります。
まさにその通りで、自由に動けるわたしたちにとって、移動しないからこその命の工夫はとても興味深いものです。
ですが、じつは「移動できない」というのは「動かない」という意味ではありません。植物はよく動いています。
今回は、これまで写真ではお伝えできなかった植物の動きを、動画を使ってご紹介していきます。随時更新していく記事になりますので、たまに見にきていただければ幸いです。ひとまず種の話からいってみましょう!
◎とにかく種がよく動く
土のなかに根をおろすと他の場所には移動出来なくなる植物も、その一生のうちではなれた場所に移動するチャンスが訪れる時があります。それが、たねになった時です。
この時だけは、あの手この手で大移動。それぞれ、どんな移動方法があるのか色々と確かめてみるのも面白い観察テーマです。
たとえば身近な野草として馴染み深いカタバミの仲間。
▲黄色い花とハートの葉っぱが特徴です。これが実になるとこのような姿になります。(これはオッタチカタバミですね)
▲ちょんっと突き出た塔みたいな実。このなかからパンパンに膨れた実を探し、指でつまんでみると…
▲ほら!プチプチっと種が飛び出したのが分かるでしょうか? なかなか速いスピードなので、続いてスロー撮影もしてみました。
▲ゆっくり見てみると、ぶしゅーっとたくさん種が出てくる様子を確認できます。なんだかすごい様子ですね。
白いものがたくさん出てきたように見えますが、じつは白いのは種を包んでいた皮。
▲カタバミの種は熟すとこの白い皮がペロンっとひっくりかえって中の赤茶色の種を飛ばすという仕組みになっているのです。うーん、面白い!
こんな調子で見ているとほかにもたくさん種を飛ばす草を見つけることが出来ます。▲春先にこんな紫色の花を咲かせるムラサキケマンも
▲花が終わると、こんな形の実になります。このなかから、やはりパンパンに膨れているものを探して指でつまんでみると…?
▲ほら、これも種がはじけた!(とっても速い動きなので、これもスロー撮影です)
指を離した瞬間に種がパーンっと上方に飛び出していきました。
ほかにもまだあります。
▲赤い花が印象的なカラスノエンドウ。
▲これも実が熟すとこのように真っ黒になります。この時に先端をつまんでみると…
▲スロー撮影でも捉えきれない素早さで種が飛んでいきました!
▲これが、種が飛んだあと。カラスノエンドウはマメ科なので、こうしてマメの莢がねじれるように弾けて、種をぽーんと飛ばすという仕組みなのでした。
また、ほかにもないかなぁと探してみると
▲あっ、ナガミヒナゲシだ。
▲実のなかに種がたくさん入っていて驚く植物ですが、これもどうやって種をばらまくのかなぁと思ってスロー撮影してみると
▲な、なるほどー!たぶん道端で人や動物が軽く触れるだけで、こうやって種をポロポロばら撒いているのでしょう。飛ばすだけじゃなく、ばらまく方法もあるのですね。
さらにつづいて今度はこれ。
▲カラスつながりで、カラスムギです。
▲よく見ると茶色っぽいものがついているので、これを取り出してみます。
▲こんな感じの種でした。これは振ってもつまんでも何も起きませんが、霧吹きで水をかけてみると、あることが起きます。
▲しゅっしゅっ。
ほら、ぐるぐる動いてる!これはスロー撮影ではないので、本当にこれくらいの速度で動きます。おもしろいですね。
カラスムギは雨が降った時にグルグル回転して、自ら土に潜り込むのではないかと考えられています。でも、どうも私には本当に土に潜っていけるのか疑問。そこまでの力は無いようにみえますよねこれじゃ。せいぜい運が良くてなにかの隙間に潜りこめるくらいじゃないかなぁ。
このあたりも常識にとらわれず、自分で実際に実験して確かめてみるというのが大事かもしれません。
ちなみに、カラスムギがグルグル回転するのには、こんなところに秘密があります。
▲この種から出てる毛の部分(「のぎ」と言います)。乾燥している時はこれがねじれているのですが、これが水にぬれると…
▲ねじれがほどけたのが分かるでしょうか?こうしてグルグル回転するという仕組み!
ということで、ひとまずこのあたりまで。ほかにも色々な動きがあるので、撮れ次第更新していきます!みなさんもぜひお近くで動く植物を探してみてくださいね◎
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おまけ:セミの羽化
▲動画が撮れれば、セミの羽化の決定的瞬間だって撮れちゃいます。何度見ても感動ですね。
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