猫のひたいほどの小さな庭で、せっせと野菜を作っている。
ついこの間までは、各種菜の花(のらぼう、白菜、菜花など)がよく採れたが、今は「絹さや」の季節。
採れたての絹さやをさっとゆがいて昼食にパスタを食べる幸せ。ほんの少しでも自分で野菜を作ることは本当に気持ちがいい。
という様に、単純に楽しいから野菜を作っているのだけど、「植物の勉強になる」というのも僕にとっては大事な理由の一つ。
絹さやは、その実を見れば分かる通りマメ科の植物。
▲マメ科の花はみなこのような形をしています。
変な形だなぁ。この花どうなってるんだろ?と思った時に「よし、分解してみよう。」と実行できるのが家庭菜園の魅力。
まずは大胆に、花を縦に真っ二つに切ってみる。
▲花の中心部に、すでにマメの赤ちゃん(胚珠)がスタンバイしているのが見える。
ということはこのマメの赤ちゃんを包んでいるのが「子房」で、その先が「雌しべの柱頭」になると。
ただし、これらは花弁の中にあるため、普段は外側から見ることが出来ない。
フムフムならばと今度は別の花を摘んできて、左右の花弁(翼弁)を取り除いてみる。
▲すると花の内部にあった「雌しべ」と「雄しべ」が姿を現してくる。
さらに上の花弁(旗弁)と下の花弁(舟弁)も取り除いて、近寄って見てみる。
▲「雄しべ」がたくさんあって、その根本は合着していることと、「雌しべ」はその中から一本だけ出てきていることが分かる。
「雌しべ」の柱頭がなにやら気になる色と形をしているので、さらに近寄ってみる。
▲雌しべの柱頭に、すでに雄しべの花粉がびっしり付いている。
エンドウ豆の仲間は自家受粉(一つの花の中にある雄しべと雌しべが受粉すること。対して、虫などに花粉を運んでもらい、別の花と受粉を行うことを他家受粉と言う)を行う性質を持っているらしく、花が咲いた頃にはすでに受粉が終わっているみたい。
よし、今度は花を全部分解してみよう。
▲マメ科の花は「蝶形花」という変わった形の花を咲かせる。
写真上部の一番大きい花びらが「旗弁」、左右の花びらは「翼弁」、下が「舟弁」と呼ばれる部分。
そして真ん中が「雄しべ」(雌しべは風で飛ばされてどこかへ行ってしまいました…)。一番右下にあるのが、花を支えている「がく」であると。
なるほどなるほど。だんだん「絹さや」のことが分かってきたぞ。
▲花がこうしてしおれる頃には、すでに受粉が終わっていて
▲子房がどんどん大きくなっていく。
▲たまにこんな姿を見かけるけど、下の白いのは花びらの残りで、上のちょろちょろっとした白い毛は雄しべの残り。
▲そして、大きくなった絹さやの先端に残っている白い部分は、雌しべの名残り。
というわけで、僕たちはこうして出来た絹さやを食べているのだということを少しだけ理解。
本来なら、これから実が熟して種が育ち、次世代に繋がっていくというのが植物の命のサイクルなわけだけど、僕たちはその途中をいただいている。今日も心してお野菜をいただこう。
以上、本日の自由研究「絹さやの花の作りと、その実が出来るまで」提出完了!
(スポンサードリンク)
watashinoniwa
花が開いてしまった時に自家受粉が完了している花は、何のためにきれいな花をつけるのでしょう?