白状しますが、植物のことって、たまに分かったふりしてちゃんと分かっていないことがあったりします。
なぁにせ難しい。植物用語は。
茎につく花の様子を表す「花序」ひとつとっても(この、花序という単語にそもそも馴染みがないですよね…)、
単頂花序、集散花序、穂状花序、円錐花序、肉穂花序などなど
普段馴染みのない文字列が頭のなかで大渋滞を起こし、なかなかよしいっちょ調べてみるか。という気を起こすのさえ大変というもの。
しか~し!
身近な植物楽しみ隊の私としては、こうした『専門用語を実際に現物を見て確かめて楽しむ』方法だってあるんじゃないかと思っています。
そう。やってみると結構楽しいんですよね。
たとえば、聞き馴染みのない花序として真っ先に思い浮かぶのが【杯状花序】。
ね。もうどうやって読むのか、いったいどういう形なのかさえ想像がつかないですよね。
カタカナでもう一度。「ハイジョウカジョ」。
▲これです。
すいません、今日は面食らう人が多いかもしれません。
これですね、なんと花なんです。立派なハイジョウカジョ(杯状花序)なんです。
▲今回のモデルは「ショウジョウソウ」。なんだかこの植物の名前もややこしいですね…。
▲漢字で書くと「猩々草」。あの、真っ赤な顔した架空の生き物(猩々)が名前についていますが、それはこの葉の付け根の赤さから来ているのだそうです。
結構目立つので、この植物を見かけたことがある方は案外多いのではないかと思います。
それで、じゃあこのどこに花があるんだというと
▲この中心部なのでした。
▲そして、そのうちの一つをアップにすると、こんな形をしているというわけでございます。
もうこの花のつくりの意味が分からなくて、じつは私も長らく素通りをしておりました。今日は一念発起してちゃんとこの「杯状花序」なるものを理解してみようと思います。
▲この右に垂れ下がる謎の物体の付け根。ここがカップみたいになっていて、そのカップ(杯)のなかに、雄花と雌花、蜜腺が入っているというのが「杯状花序」のあらまし。
それを聞いてもよく分からないというのが正直なところだと思いますが
▲このカップを上から見ると、真ん中に黄色い小さな点々がついているのが「雄しべ(雄花)」で右に垂れ下がる変わった形のものが「雌花」。左についている水分が入っているように見えるものが「蜜腺」。
なにがなんだかよく分からないですが、確かにこのカップ(杯)に「雄花、雌花、蜜腺」の全てが入っている(くっついている)ことだけは分かります。
▲蜜腺には蜜が入っているのでアリさんがよってきます。
▲本当に甘いのかな。
▲で、このカップからニョキっと雌花が飛び出てきます。
▲こんなして。じつはここプチポイントなんですが、「杯状花序」を持つ植物は基本的に「雌性先熟」といって、雌花が先に熟すという特徴をもっているそうです。
はい、それでは音読します。
「ショウジョウソウのハイジョウカジョはシセイセンジュク」(ショウジョウソウの杯状花序は雌性先熟)。
今日はもうついてこられる方だけついてきてください・・・。続けます。
▲それで、こうやって雌花が飛び出たら、真ん中のカップの中心から黄色い雄しべが熟していくので、こうなってようやく雄しべが目立ってきます。
▲というのが杯状花序のつくり。
あれ、意外とはやく説明終わっちゃった。
▲改めて上から見るとこんな感じ。
いやぁ複雑・・・。
ちなみに、前にご紹介したコニシキソウもトウダイグサ科なので、その花は杯状花序のつくりをしていました。
▲コニシキソウの花。これも本当に複雑な形ですね。
自分で解説していても、また同じように話せるかどうか甚だ自信がありませんが、とにかくこの花がトウダイグサ科の花の特徴でございます。
それで、問題はどうしてトウダイグサ科はこんな複雑な花の作りに進化したのだろうということなんだけど、僕いつも無理やりにでも理由っぽいもの考えるんですが、これに関しては全く分からないんですよね。
なんだかもう不思議すぎて、見とれるばかり。人はなにか理由をつけたがるものだけど、もしかしたらやっぱり本当の理由なんてものは無いのかもな。
なんて思ったりするこの頃です。
**暑い夏も終わりに近付いてきたので、観察会を再開します**
2018.09.15
まちの植物はともだち@谷保 ー秋ー
詳細はFBのイベントページから:
https://www.facebook.com/events/263365850952873/
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岐阜県 石徹白の小水力発電と 郡上八幡の水を活かした暮らしをめぐる旅 3日間
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